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レポート2018.04.2180年前の映画でも笑いは変わらない!弁士と伴奏で無声映画が鮮やかによみがえる

4月21日(土)、那覇市の首里劇場で日本のコメディ・世界のコメディ『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』の上映が行われ、桂文枝、演出家の髙平哲郎さん、活動写真弁士の片岡一郎さん、映画伴奏者の鳥飼りょうさん、司会の清水圭、ダイノジの大地洋輔が登壇しました。

同作品は、小津安二郎監督のサイレント期の代表作で、子どもたちが互いに威張りあう前半のユーモラスな描写から、父親をなじり大人の世界に皮肉をこめて子供たちが告発するシリアスなタッチへと変わっていく物語です。

上映前には、「片岡さんが弁をふるうのを初めて見る」という髙平さんが「すごく楽しみ」と期待を寄せます。ほぼ初対面の2人ですが、前日の食事の席で互いに泡盛を酌み交わして心を通わせたということで、壇上で司会の大地とともにテンポのいい掛け合いを披露していました。そして片岡さんが「“大人の見る繪本”とタイトルにありますが、いやらしい作品ではありません」と付け加えると会場から笑い声が起き、上映が始まりました。

映像に対して、片岡さんは主人公の兄弟、父親、母親、友達、学校の先生、ナレーションなど登場人物ごとにトーンや声色を使い分けます。また鳥飼さんも、シーンに合わせてピアノの曲調やテンポなどを変え、2人の手によって無声映画が鮮やかな作品へと生まれ変わり、上映は終了しました。

上映後には、桂文枝と司会の清水圭も加わって、再び登壇します。清水が90分間、弁をふるった片岡さんに対して「大変でしたね」と労うと、「(この作品は)後半に盛り上がるので比較的に楽でしたよ」と話し、緊張が解けたのか笑顔がはじけていました。桂は「昔、活動写真を観たことがある」と言い、「日常生活を切り取った作品で、これほど上映時間が長い作品もあるんですね」と驚いていました。

さらに「内容は深い話だったけど、(物語に出た)スズメの卵って食べられるの!?」とおどけると会場からは笑い声が上がります。続けて桂は「80年前の映画ですが、見ていたお客さんの笑い声が上がりました。これはすごいことです!何年経っても笑いは変わらないんですね」と貴重な作品に感心しきりで上映会は幕を閉じました。