4月20日(金)、那覇市の桜坂劇場で桜坂映画大学芸人純文学科『火花』が行われました。同作品はよしもとの芸人の又吉直樹の同名小説を原作に映像化した人間ドラマ。原作は2015年に芥川賞を受賞し、販売部数300万部を突破した純文学です。

上映に先立って行われた舞台挨拶では、監督の板尾創路をはじめ、2丁拳銃、相席スタート、ゆりやんレトリィバァ、MCのバッファロー吾郎の竹若元博が登壇しました。

2丁拳銃の小堀裕之は「映画の中でピカピカと輝いていた相方の修士が羨ましく、演技のうまさが腹立たしいくらいでした」と恨み節を交えつつも、相方の演技を絶賛。川谷修士は「実際の年齢より20歳も若い役を演じるのが最初は不安でした」と役作りの裏側にある心境を語りました。

桜坂映画大学芸人純文学科は、特別講師を招いて映画を様々な角度から学んでいくもので、生オーディオコメンタリー上映という手法で開催されます。映画を友人たちと自宅で鑑賞するように、おしゃべりを楽しみながら映画を味わうことができ、監督や出演者による撮影秘話、芸人ならではのコメント、ロケに使ったオンボロアパートの心霊騒動、使用したライカのレンズの素晴らしさなど、様々な話を聞くことができました。

「原作の又吉君の優しさがにじみ出ていましたね。芸人をやめていったたくさんの人への賛歌とも言えるでしょう」と、MCの竹若の言葉で口火が切られた上映終了後のトーク。ゆりやんは「芸歴はまだ6年の私ですが、感情移入しながら観てました。映画に描かれていること、ホンマに全部あるなぁと、感動しながら観てま…」と、今までの苦労がフラッシュバックしてきたのか、感情が高ぶり涙で言葉を詰まらせていました。

映画の中で、漫才師の主役の相方・山下を演じた川谷は、トークの間中、溢れてくる涙を必死に堪えていたといいます。撮影期間中、独身の若手芸人という役作りのため、奥さんと別居して独身生活を送っていたという気合いの入れよう。感動が最高潮に達するクライマックスシーンの撮影の直前、板尾監督から「山下役が決まった時、周りから修士でいいのか反対の声もあったけど、お前にしてよかった」と言葉をかけられ感涙してしまったそうです。おかげで、その直後のクライマックシーンでは、本番で泣いてしまった菅田将暉さんとは対照的に、冷静になることができたと明かしました。

「小説の映画化は限られた尺のなかに、原作のどこをどう切り取るかが難しい」という板尾監督は、「菅田将暉のスキルは、語弊があるかもしれませんが普通を超える異常なまでのものでした。感情の刻み方、リズム感が抜群で、アドリブを上手に入れながら、こちらの指示にもしっかり応えてくれました」と絶賛。続けて「私自身、今まで舞台に立ってきた数え切れない数の漫才師のために撮り始めましたが、次第にすべてのクリエーターに向けての映画だと思えてきたし、最後は、精一杯生きているすべての人へのオマージュだと思えるようになりました」と、映画づくりを振り返っていました。

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