レポート2018.04.20千葉真一さんからの沖縄への熱いエールに大喝采
4月20日(金)、那覇市の桜坂劇場ホールCで『沖縄やくざ戦争』の上映と舞台挨拶が行われました。
『沖縄やくざ戦争』は、沖縄で実際に起こったやくざ抗争事件を基にした、中島貞夫監督による1976年の作品です。上映終了後に、主人公の国頭正剛を演じた千葉真一さん、沖縄映画研究者の世良利和さん、バッファロー吾郎・竹若元博、品川庄司・品川祐、ライセンス・藤原一裕、MCの清水圭が登壇しました。
千葉さんが演じた主人公・国頭が、非常に荒々しく血なまぐさいキャラクターだったため、上映を見終わった竹若や品川は「すごかった…」とやや放心状態。千葉さんが「沖縄に来ることを心から楽しみにしていました」と嬉しそうに客席に話しかけると、大きな歓声と拍手がわきました。
世良さんが「この作品の国頭は、深作欣二監督『仁義なき戦い 広島死闘編』の主人公・大友と双璧をなすキャラクター。1972年に沖縄が返還された後にたくさんの沖縄映画が作られ、千葉さんは十数本近く出演されている。この時代にうちなーんちゅ(沖縄人)を一番多く演じた俳優は千葉真一さんです」と解説すると、清水圭と品川が大きくうなずきます。
撮影の際、中島監督からは「国頭というキャラクターは、荒っぽいが沖縄を愛し守ろうとした男で、彼自身が沖縄を語っているんだ」と聞かされ、誠心誠意演じようと決意したとのこと。周囲に「人が違っているから現場には絶対に来ないでくれ」と言われるほど役に没頭し、俳優人生の中でも強烈に印象に残った役だそうです。
そんなリアリティにこだわった作品作りだったため、実際の沖縄のやくざ抗争に近すぎて、当時は沖縄での上映ができなかったそう。「ヒリヒリした、沖縄の空気をものすごく感じた」と品川が言うと、千葉さんから「実際は沖縄では1度も撮影はしていません、できなかったんです」とのまさかの裏話が飛び出しました。これには竹若や品川をはじめ、客席が大きくどよめきました。
「この作品を見るたびに悲しくなる。強い者が金と権力を使って弱い者同士に潰し合いをさせる、沖縄の歴史と現状が表されている」と涙ぐみながら千葉さんが話すと、ホールが水を打ったように静まりました。
最後に、「大好きで思い入れが大きい沖縄を題材にした映画の企画が数本あります。みなさん、ぜひ、その時は力を貸してください。そして、来年もまたここに来たい。昔から僕は沖縄が大好きなんです、これからも一緒に頑張りましょう!」と力強いエールが送られると、客席から拍手喝采が沸き起こり舞台挨拶が終了しました。