レポート2018.04.21バスター・キートンのコメディセンスと超絶アクションに文枝が驚嘆!
4月21日(土)、那覇市の首里劇場で『キートンのセブン・チャンス』活動弁士&演奏上映が行われました。
『キートンのセブン・チャンス』は、バスター・キートンが監督と主演を務めた、1925年のアメリカのサイレント作品で、キートン演じる主人公が恋人に一途なあまりに様々な騒動を巻き起こすというストーリー。サイレント映画に活動写真弁士の片岡一郎さんがリアルタイムでセリフをあて、音楽家の鳥飼りょうさんが即興でピアノ演奏を行う上映です。
上映する劇場は、沖縄最古の劇場で、現在も劇場として稼働している首里劇場。さらに今回は、1925年のアメリカ公開時のオリジナル2原色テクニカルカラーという貴重なバージョンが沖縄で初上映されるとあって、会場の熱気も高まります。
上映前に、演出家であり作家でもある髙平哲郎さんから「“グレートストーンフェイス”。つまり笑わない男と言われたキートンの持ち味が詰まった作品。いつもはモテないキャラを演じるキートンが、本作ではモテモテ男を演じるという貴重な設定ですので楽しめると思います」と解説があり、活弁&演奏付き上映が始まりました。
片岡さんは、キートン、恋人の女性とその母親、主人公の同僚やキートンを追いかける女性たちなど、ひとりですべての登場人物のセリフを声色を変え、抑揚をつけながら演じ分けていきます。演奏の鳥飼さんは止まることなく鍵盤をたたき続け、強弱が効いた、場面に奥行きが生まれる音楽を奏でます。観客も大きな笑い声と、キートンのアクションに小さな歓声をあげるなど、たっぷり楽しんだ様子です。
上映が終わり、片岡さん、鳥飼さん、髙平さん、桂文枝、MCの清水圭が登壇しました。清水から「師匠が一番大きい笑い声で目立っていましたよ」と言われた文枝が、「いやぁ、面白くてねぇ」と笑います。「クライマックスのアクションはもう壮絶でしたね」と髙平さん。
すべてスタントなしでキートンが演じていると解説された文枝は「あれはハンパない」と驚いた様子。「笑いの間が絶妙で今でも通じる笑いに本当に驚いたし、心から楽しめた」と話します。弁士の片岡さんから「スタントなしですべて自分でやっていたのは、キートン以上の運動神経を持ったスタントマンがおらず、自身でやったほうが一番安全だったからなんです」と説明を受けると、文枝も清水もため息をもらしていました。
「登場人物が多いのにセリフもピッタリ合わせていてすごかったし、演奏も即興ですべてやっているなんて思えないほど情景描写がすばらしかった」と、片岡さんと鳥飼さんを文枝が絶賛すると、会場からは大きな拍手が起こりました。「喜劇を志す人の指針になるようなこの作品を、こういう味わい深い劇場でみなさんと体験できて勉強になりました」と文枝。すると清水から「高座にぜひこの作品を取り入れてみては?」と提案されると、「死んでまうがな!」と返し、会場が大爆笑に包まれる中、上映会が終了しました。